毎年届出が必要な届出と変更があったときに必要な届出があります。
ここでは千葉県の運用をベースに必要な届出をご案内いたします。
毎年必要な届出
毎年届出が必要な事項は以下のとおりです。
決算届(事業報告書等、監査報告書)
医療法人の会計年度終了後3か月以内に届け出が必要です
医療法人の経営情報報告書
令和5年5月の医療法等改正により、令和5年8月1日から医療法人が開設する病院及び診療所に係る経営等の情報の報告が義務化されました。
◆制度の趣旨
高齢化や医療の高度化により医療費が増加し、生産年齢人口の減少や医療資源の地域格差が課題となっていることから、これらに対応するため、医療機関の経営状況を把握し、政策立案や国民への説明に活用するための情報を収集し、データベース化した情報を研究者等に提供することを目的とした制度です。
◆報告の対象者
原則、全ての医療法人が報告対象となります。
ただし、当該報告に係る会計年度における法人税の申告において、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第67条第1項の規定による社会保険診療報酬の所得計算の特例を適用して所得の金額を計算した場合(いわゆる「四段階税制」を適用した場合)には、当該会計年度に係る報告は対象外となります。
報告対象外の医療法人は、「医療法人の経営情報等「報告対象外医療法人」報告書」のみを提出します。
◆報告の対象となる医療機関
報告の対象となるのは、医療法人が開設する「病院」と「診療所」です。報告書は、病院及び診療所ごとに作成します。
なお、介護老人保健施設又は介護医療院、附帯業務として実施する巡回診療所等は対象外となります。
ただし、訪問看護ステーションではなく病院・診療所が本来業務の中で実施している訪問看護等は、当該病院・診療所に含めて計上する必要がありますのでご注意ください。
例えば・・・
医療法人でA、B、Cの3つの診療所とD訪問看護ステーション、E介護老人保健施設を開設している場合は、A診療所、B診療所、C診療所の3つの報告書を作成することになります。

◆報告先
医療法人の主たる事務所の所在地の都道府県知事となります。
なお、複数の病院や診療所を保有し、これらの所在地が都道府県をまたがっている場合も、報告先は、全て主たる事務所の所在地の都道府県知事となります。
千葉県の場合は、書面で提出する場合は、「千葉県の医療整備課医療指導班 医療法人担当」に提出となります。
※千葉市所管の法人であっても、経営情報の報告書の提出先は医療整備課となります。
◆報告期限
報告期限は、当該医療法人の会計年度終了後3か月以内です。
ただし、医療法第51条第5項の規定により公認会計士又は監査法人の監査を受ける医療法人は会計年度終了後4か月以内までとなります。
◆報告方法
都道府県知事への報告方法は、以下のとおりです。
① 医療法人経営情報データベースシステム(MSDB)に、報告事項を記載した所定の様式をアップロードする方法
※ 初めてMCDBにより報告する際は、専用のID等が必要となります。(事業報告書等の届出と共通IDです。)
② 医療法人経営情報データベースシステム(MSDB)において、Web画面上の様式に直接情報を入力することで報告する方法
③ 郵送等によって報告する方法(プリントアウトした書面での送付)
◆主な報告事項
報告事項は、「経営状況に関する情報」と「職種別給与総額及びその人数に関する情報」の2ページに分かれています。
①経営状況に関する情報
事業報告書等より細かく医業収益の内訳や医業費用の内訳を報告する必要があります。具体的には、医業収益の内訳として、入院診療収益、外来診療収益、その他の医業収益があり、医業費用の内訳として、材料費、給与費、委託費、減価償却費、器機賃借料等があります。
上記の内訳は中分類までの記載となりますが、例えば、材料費の場合、小分類として、医薬品費、診療材料費・医療消耗器具備品費、給食用材料費とさらに細かく分かれています。
ここまで見ても分かるように、病院・診療所ごとに損益計算書の出力ができるようにしておくことや仕訳の方法も見直しが必要となる場合がありますので、これを機に一度見直しをしてみてはいかがでしょうか。
②職種別給与総額及びその人数に関する情報
病院・診療所における職種ごとの職員の給与総額及びその人数を報告する必要があります。
ここで疑問となるのが入退職者はどうしたらよいか?ということかと思います。
給与総額については、直近の暦年(1月1日から12月31日まで)か、医療法人の会計年度で記入するため、この期間中の入職者・退職者も含まれます。
職種ごとの職員の人数については、常勤職員・非常勤職員に分けて記入する必要があり、給与総額の計算時に用いた期間(暦年又は会計年度)における7月1日時点で雇用している人数を記入します。(7月1日付の採用者は計上し、退職者は計上しません。)
なお、給与総額については、対象期間中に職員に支給した給料の職種ごとの総額を記入します。給与には扶養手当、時間外勤務手当、夜勤手当、危険手当、役付手当、通勤手当など、労働の対価として職員に支給した全てのものが含まれます。給与明細や賃金台帳に記載されている支給金額の合計額と考えると分かりやすいと思います。
◆様式等のダウンロードページ
厚生労働省 医療法人に関する情報の調査及び分析等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177753_00005.html
医療法人経営情報報告相談窓口 TEL:0570-783-867
登記事項変更登記完了届
登記完了後遅滞なく届け出が必要です。
資産の総額は毎年登記が必要ですので、毎年、登記事項変更登記完了届の届出が必要となります。
変更があったときに必要な届出
役員変更届
理事長が変わったときや分院開設に伴い新たな理事が就任、理事等が辞任した場合には、変更後遅滞なく役員変更届の届け出が必要です。
また、役員が重任した場合も役員変更届の届出が必要となりますのでご注意ください。
登記事項変更登記完了届
登記完了後遅滞なく届け出が必要です。
分院開設に伴う定款変更認可にて、目的等が変更になった場合や、理事長の変更、重任等の場合です。
届出の提出先(千葉県の場合)
届出書類の提出先は、医療法人の主たる事務所を管轄する保健所です。
ただし、医療法人の経営情報報告書を書面で提出する場合は、「千葉県の医療整備課医療指導班 医療法人担当」に提出となりますのでご注意ください。
※千葉市所管の法人であっても、経営情報の報告書の提出先は医療整備課となります。