分院を開設するには、まず、都道府県の定款変更認可申請が必要となり、東京都の場合、事前審査~認可書交付まで3か月程度時間を要します。認可のあとは、法務局での変更登記を行い、保健所の開設手続きなど複数の手続きが続きます。
また、定款の内容を1文字でも変更する場合は、原則、定款変更認可申請が必要となります。
医療法人の設立と同様、多くの資料が必要となります。定款の変更内容によって必要な資料も異なりますので、定款の変更をご検討の際は、ぜひお問い合わせくださいませ。

定款変更認可申請

定款の記載事項を変更するときは、医療法第54条の9第3項に基づき都道府県の認可を受ける必要があります。
具体的には、分院の開設、既存診療所の廃止や診療所の名称を変えるとき等が挙げられます。
特に診療所を移転する際は、定款変更認可申請を忘れがちですので注意が必要です。

定款変更認可申請の流れ(分院開設の場合)

医療法人の設立とは異なり、いつでも都道府県に申請することが可能です。
複数の手続きを進めていく必要があるため、開設希望時期から逆算して、準備を進めていく必要があります。

東京都の場合、事前審査~認可書交付まで3か月程度時間を要します。
認可後も、変更登記や保健所での開設手続きが続きますので、準備期間も含めて半年程度見込んでおく必要があります。
 (半年以上かかるケースもありますので、あくまでも目安とお考えください。)

主な添付書類と留意点(東京都の場合)

変更する内容により必要な書類が異なりますので、管轄の都道府県に確認が必要です。
主な添付書類は、「新定款案」、「新旧条文対照表」、「議事録(社員総会、理事会)」、「新診療所等の概要」、「事業計画」、「変更予算・予算書」等です。
東京都の場合、事業報告書等一式(直近の事業年度分)、勘定科目内訳書の提出も必要です。特に勘定科目内訳明細書は、剰余金の配当に類似する行為がないか細かくチェックされます。

参考までに東京都の医療法人運営の手引き記載の「剰余金配当とみなされる例」は以下のとおりです。

  • 役職員及び利害関係者等に対する貸付(全役職員を対象とした福利厚生規程を設けた 場合を除く。)
  • 役員等特定の人のみが居住する社宅の所有又は賃借
  • 役員等特定の人のみが使用する保養施設の所有
  • 理事長等が経営する営利法人に資金援助
  • 理事長等の個人的な借入の返済又は、法人資産を担保提供 等

また、定款変更認可申請時に過去の届出や理事長の重任登記等がされておらず、審査が進まないことがあります。分院開設などの定款変更をお考えの際は、必要な届出が漏れていないかの確認もタスクに加えておくとスムーズです。

定款変更認可後に必要な届出(都道府県)

定款変更認可により登記事項に変更がある場合は、「医療法人の登記事項の届出」の届出が必要となります。具体的には、分院開設や主たる事務所の移転等の場合です。

また、分院開設や既存診療所の廃止に伴い、新たな理事の就任、理事の辞任が発生する場合は、「役員変更届」の届出も必要となります。

事後の届出で定款変更が可能な事項

下記の2つのみが届出のみ(認可不要)で定款の変更が可能です。

  • 医療法人の事務所の所在地
  • 公告の方法

注意が必要なのは、「事務所の所在地の変更」です。
例えば、東京都中央区から東京都港区へ事務所の所在地を移転する場合には、届出のみで変更が可能となりますが、埼玉県に事務所の所在地を変更する場合は、所轄庁が変わるため、定款の条文に変更が生じます。

そのため、定款変更認可申請が必要となります。

医療法人の届出(都道府県)

毎年届出が必要な届出と変更があったときに必要な届出があります。

詳しい東京都での届出については>>こちら